2016年05月03日

2016年4月29日〜5月1日 池郷川本谷上部→ケヤキ谷遡行→嫁越峠〜太古の辻〜前鬼小仲坊 周回 

[参加者] 齋藤(記) 単独
[天 候] 4月29日(晴、北西風強)
     4月30日(晴、微風)
     5月1日(晴、微風)

毎年GW、夏季休業、秋の連休、年末休暇の4回は必ず『旅』をテーマに沢を絡めて山域の周回あるいは
峯を越えての旅をすることにしている。
今回は年末休暇での南紀ナル谷以来、単独では2015年のシルバーウィーク以来の沢旅ということで
幾つかの候補を挙げながら検討していましたが、最終的に
昨年のシルバーウィークも候補に挙がっていながら前鬼川孔雀又に座を譲った池郷川上部遡行を絡めての
旅を選びました。

<予定>
4月29日:池原〜(林道)〜車止めゲート〜大又谷へ下降〜大又谷左岸山道を横手小屋谷に辿り
     本谷に降下、出合い付近泊
4月30日:本谷上部遡行〜ケヤキ谷遡行〜嫁越峠〜ドウノ谷沿いに滝川赤井谷へ下降、出合泊
5月1日:赤井谷中部から遡行開始、千丈平〜大日巻き〜太古の辻〜前鬼小仲坊(泊)
5月2日:小仲坊〜前鬼口バス停

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全35qほどのうち約半分が舗装の林道歩き・・・・
大峰も北山川流域は168号線を下桑原まで行くコミュニティバスがあり、しかも土日祝は
大和上市を8:30に出発と、アクセスはまだかなりましになったとはいえ
当然幹線道路からの林道アプローチはその山域の奥深さ故長くなるのは仕方ない。
もって生まれた二本のアンヨだけが頼りでございます。


★1日目(4月29日)
てなわけで
朝もはよからヨメハンたたき起こして道楽旦那の送迎に近鉄藤井寺までのせてもらい
南大阪線〜吉野線で一路大和上市へ。

大和上市からは、昨年9月から「ゆうゆう169バス」として生まれ変わったコミュニティバスに乗り
169号線をひたすら南下する。
GWの初日とあって、土日祝日ダイヤで朝08:30発と便利になったこのバスに
多くの登山客が列を作っている。隣のバス停からは先日山開きになったばかりの大台ケ原への特急バスも出ているので駅前は朝から大した賑わいになる。
コミュニティバスは増便となった。早めに到着していた私は首尾よく1台目に座ることができてまずはほっとする。ここから2時間10分のバスの旅。
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10:40 池原着(2300円 ICカード可)

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道中、和佐又口と前鬼口でかなりの乗客が降りて、池原に降り立ったのは私と、持経へ向かう2人連れだけであった。
白谷池郷林道をえっちらおっちらと車止めまで歩く。
快晴であるが北西からの風が強く少し冷たい。
1時間半もすると、対岸にカワハリ谷を迎え正面に奥深い池郷流域の全貌が広がる。
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石ヤ塔を右手に迎えると車止めゲートは近い。
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車止めゲートまで、池原から約2時間弱
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さてここから大又谷へまずは降り立ち、対岸に伸びる山道を拾って横手小屋谷に入り、降渓して本谷上部との出合で幕、が今日の行程である。
ここまでわりと順調に来ているのだが、ゲートを越えてから右手の斜面に目を凝らしつつ進むも
それらしい降渓点が見つからず、Co810あたりにかかる橋の手前に見つけた赤テープをそれか?とみて
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ガレた谷を少し降りるがどう見ても岩が不安定すぎて合理的ではない。
左岸を再びトラバース気味に林道に上り、戻りながら斜面を観察したが、やはりCo790あたりの
小尾根が「まだまし」という程度で下に落ちているのでここを伝って大又谷に降りることにする。
なんだかんだ、40分ほどうろついてしまった。

降り立った場所は堰堤に挟まれた広い河原。
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最後、ヌルっと苔の茂ったスラブ状であったため10mほどの懸垂をしたが
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そんな記録は見当たらないのでおそらく少し下に降りてしまったのかもしれない。
この河原でひとまずは沢装束に替える。

対岸を見渡すが、2段になった渓の側壁の上段基部を巻くように踏みあとと思しきものがある(ような気がした)のでさしあたりこれを拾い斜面を見ながら大又谷左岸尾根をトラバースして横手小屋谷に入ろうと
もくろむ。
踏みあとは現れては消え、不規則に上下を繰り返し、時折期待を持たせるような杣道の石垣が現れるが
やがて崩壊に飲み込まれて消え失せその先でズルズルの巻きあがりを余儀なくされるなど
思ったよりも状態が悪い。足下の急斜面は険悪な中流ゴルジュに転げ落ちており、先の見えない
谷底からどうどうと瀑流の音が響いてきている。
進む方向は間違っていないという確信と、斜面は急だがしっかり根の張った広葉樹が悪くない間隔で
生えているので、チェーンスパイクを装着し、なかばモンキークライムのようなトラバースを続けながら
じわじわと北に進む。
苦戦すること2時間半ほどでようやっと横手小屋谷と思しき谷筋に出合う。
下を見ると色あせてはいるがいくつかのテープが灌木に巻かれており、木々の間から
先のほうで幅のありそうな水流も見て取れる。目算で高度差50mほど。
重荷が堪えるが慎重に降り、出合付近に広がる木陰の大地に幕を決めた。
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16時。2時間も押してしまって、幕を張り、薪を集め、米を洗いとしていたら
竿を出す時間も無くなってしまった。もったいないことだ。
今回はタンパク質は、「運が良ければ釣り上げて」という感じで現調を狙っていたのだが
仕方ない。持ち込んだ食料は米(一日2.5合)梅干し(10個)味噌(200g)。
ボウズ対策として唯一オカズらしいものとして行者にんにくの醤油漬けを持ってきた。

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熾火でふっくら炊きあがった白い熱々のメシに行者にんにくを載せて喰らう。
はた目には貧しい夕餉であるが、なんの、山の香気あふれるにんにくの風味に満足。

風を嫌い低めに張ったタープの下に潜り込み、焚火の暖かさを感じながら持ってきたウィスキーを嘗める。
吾れ 渓中に在り。
風、水、鹿啼を子守歌に
その晩は疲れに任せていつの間にか落ちた。

★2日目(4月30日)
夜半から明け方にかけて幾度か強い風が幕場を過ぎ、タープが暴れたが張り直しを要するほどではなく
やがて周囲が見えるようになってくると風はすっかり収まっていた。
昨夜の残りめしを昼食用に取り分けて、残りを味噌で溶き、おろし生姜と行者にんにくを混ぜて啜りこむ。
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上流に向かい、2礼2拍手1礼。
07:00出発

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渓は本流らしいスケール感の中、白い岩盤を滑るように、あるいは巨石の間を縫うように
豊かに走る。
遡行そのものに難しさはない。
慎重に、しかし悠々と、時折快晴の陽射しに身体を干しながら逍遥を楽しむ有頂天な時間が過ぎる。

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両岸を彩る緑はあくまで明るく深い。
ときおり巻き越えの容易でない場所に家一軒はあろうかという巨石が連瀑をなしていたりするが
なんとか全身を使い攀じ越える。

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正法寺谷を過ぎてカスケ谷に出会う手前でゴルジュが現れた。
今回の唯一の核心といったところだろう。記録では入口の深い釜をへつり、泳ぎを少しで
その先の12mは右手クラックを登り上段6mは左岸巻き越えるとあるが
単独で重荷でもあり、迷わず巻きを探る。
右岸に伸びる尾根がカスケ谷右岸尾根ということになろう。
30mほど巻きあがり尾根を越えるとカスケ谷が水量豊かに合わさっている。
高度ほぼそのままでカスケ谷を渡り、カジ平谷が左岸から本流に合わさるすぐ上にで
沢床に戻る。
ここを巻くのであれば、記録では左岸から巻き越えて上段滝を越えたあたりで懸垂下降となっているが
私の辿ったラインのほうがはるかに平易に思われる。

さしたる悪場もなくウグイ谷が合わさるあたりまで左右にときおり現れる泊適地を物色しながら
再訪の際の行程に思いをはせつつ
11:30に右岸からケヤキ谷が合わさる出合いに来た。

梅干しと塩飴を口に放り込みながら休憩。
白く陽を反射する岩の上に寝そべり体調を見る。

少し左膝に違和感を感じていた。

久々の重荷が堪えたのだろうか。
予定通りケヤキ谷を詰めあがったとして、そこからどうするか。
@予定通り滝川赤井谷へ降り、翌日釈迦に上がり前鬼小仲坊テン場泊、2日(平日)07:30のバスで帰るか
 ※この場合、2日は朝4:30には幕地出発する必要がある。
A嫁越峠から稜線を北に縦走し、A)深仙で寝るB)太古の辻から前鬼小仲坊まで一気におり泊まる
B池郷本谷筋をこのまま小池宿跡にて泊とし、1日は左岸P1152経由で前鬼に降りる。

今回の目的としては一つ、大峰全体が女人禁制であったころ
十津川村から北山村へと嫁ぐ花嫁のために、人の通れる幅三尺だけが女人の通行を許されていた。
そんなことから名前が付いたという嫁越峠の、その峠越えの道の存在を探ることでもあった。
峠の向こうは地形図では一応破線がついているのだが池郷川のほうではそれが見当たらない。
女人禁制であったとすれば稜線上を通る経路は考えにくく小池宿から堂の谷に沿ってコルを越え
ケヤキ谷に合わさるあたりから何らかの痕跡が出てくるのではないか・・・
全部は今回は叶わぬにしても、なんの記号も振っていない峠東面の状況は見てみようということで

Aを選択。
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12:00
まずはケヤキ谷左岸尾根に乗り(ケヤキ谷右岸および水流付近は人の通れる状態ではない。ただし沢ヤは別)
斜面をトラバースするうっすらとした踏みあとを見つけて追う。
※ここから先、本当に右往左往で探り探り登ってまして、写真を撮る余裕もありませんでした

左手眼下のケヤキ谷はCo1040二股あたりで乗っている左岸の斜度が増す。
ここでいったん沢床に戻り歩きやすい水線と右岸側を探りながら高度を上げる。
Co1120で左岸から、堂ノ谷を乗り越した沢が入ってくる。
このあたりから左岸斜面に何らかの痕跡が再び現れてくるはずだ・・・と目を凝らすが
それらしいものは見当たらず、引き続きオブザーベーションしながら高度を上げる。
Co1150で谷は三俣となり左股には30〜40mと思われる黒い岩肌の直瀑が2段になって
威圧していた。中俣は地形図からするとダイレクトに嫁越峠に詰めるが、どえらいガレである。
道があるとすればおそらく左股と中俣の中間尾根をジグ切りながら進んだのかもしれない。
沢床を離れ、中間尾根を嫁入り娘の気持ちになりながら道を探り上り詰める。
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時折ナルい斜面で一息入れながら200mほど詰めてゆくと右手に嫁越峠の稜線が
視線と同じ高さで迫っている。道筋としてはトラバースしながら上がるのが普通なのだろうが
尾根芯を右に外すと斜面が思いのほか悪く、ここまでほぼ尾根芯直登であった。
ここからは膝下程度で生い茂る笹を分けながら草滑りに注意しつつ峠にトラバースする。
二か所ほど、斜面がヌケて高巻きを余儀なくされる。
正直、あまりよくない。チェーンスパイクが効いているからまだ不安がないだけだ。

14:40、嫁越峠着。

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結局、いにしえの道の存在はまったくわからなかった。

が、まぁいずれにせよ、一般登山道という格段に安全な領域に出てきた安堵のほうが深かった。
峠に横たわる乾いた倒木に頭をもたせ掛け、ゆるく抜ける風と日差しに身を晒すうちに
その場で眠ってしまった。

気づくと16:00
陽も傾きかけていた。
太古の辻までは陽も持つだろうがそこから深仙か、前鬼か

滝川赤井谷を省く以上、稜線に長居するよりも休日ダイヤ(5月1日)の前鬼口15:22のバスに照準を合わせ
今日はヘッデン下山になるがゆっくり前鬼に降りて明日の午前中までマッタリ疲れをいやそうということにした。

辿りつめた池郷の流域を右眼下に稜線漫歩。
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果たして、前鬼小仲坊に降りたのは20:00であった。
宿坊の下のテン場は私を含め4組だけ。
快晴微風で明日も崩れないのはわかっていたのでツェルトは張らず
マットにシュラフを露天に敷いて体を伸ばした。
満天にきらめく星空を仰ぎながらウィスキーを嘗める。
時折、流れ星が視界を走る。
なんという贅沢だろう。

★3日目(5月1日)

おはようございます。さわやかに晴れ渡った。
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エスビットでお湯を沸かし、ミルクティーに生姜とフルーツグラノーラを入れて啜る。

今日はとにかく午前中は日向ぼっこしながら装具を洗って干したり身支度をしようということで
朝から残り酒を飲む(笑)

幕場で隣だった方は行者さんをしていらして、神奈川の相模湖から来られたとのこと。
大峰のアレコレでいたく話も弾み、素敵な地下足袋も紹介していただいたり
楽しい時間を過ごした。
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11:30頃、小仲坊を後にする。
山に行くとき、最近はアプローチや下山のときは地下足袋を使っているのだが
林道の舗装道での使用は少々しんどいものがある・・・・・

不動七重の滝に清涼剤を求めながら
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日差しの照り返す林道をとぼとぼと歩み
やっとのことで14:20前鬼口バス停
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既に3名の方々が先着され、一時間後のバスを待っており、しばし歓談、互いの労をねぎらっていると
同じ日に早朝から小池宿〜石楠花岳に入っていた齋藤の山友K浦氏が車で通りかかった。

ありがたいことにそのまま大和八木まで同乗させていただきました。

K浦氏、5月3日より尾鷲道を高見山〜尾鷲までたどるそうです。
タフやなぁ〜!!


そんなこんなで、行程を一部ショートカットしたが終わってみればそれなりに充実し
満足度のある沢旅でありました。

しかしホンマ、大峰は深い。うん。深いですわ・・・・
posted by 飄逸沢遊会 at 11:14| Comment(3) | TrackBack(0) | '16年 山行報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
滝川の花瀬に行けずでしたか?

嫁越峠からの破線の道は2012年5月に行った時もほとんどわかりませんでした。(滝川よりカリヤス尾ー滝川辻ーカスケ谷右岸より池郷本谷ーケヤキ谷ー嫁越峠ードウノ谷ー花瀬)
Posted by とし at 2016年05月07日 21:55
としさん
ケヤキ谷をから尾根詰めて嫁越に上がって気力失せて思わず昼寝しちゃいました笑。
単独なんで無理せず予定変更しました。
Posted by さいとう at 2016年05月17日 08:57
5月4日は白川又川岩屋谷から茗荷谷は250m 登って600m 下って550m 谷を登り250m下ってテンバに戻りました!

6月13、14日、奥美濃千回沢山に行かないですか
Posted by とし at 2016年05月18日 21:55
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