2004年10月17日

奥美濃 笹ヶ峰1284.6m 「日野川支流長床谷・焼小屋谷遡行と下降」 梶谷

原稿 007.jpg 041017090918.jpg
 前夜、J・佐々木氏と待ち合わせ、名神高速道から北陸自動車道に乗り継ぎ、今庄ICで下り広野ダムに向かう。広野ダムに着き左折、真夜中の林道をさらに進み、最奥の集落跡で一夜を明かす。
 翌朝6時に起床。林道終点に車を置き、なだらかな杉林を下りて7時15分に入渓。10月も半ばになると沢の水は冷たい。いっぺんに目が覚める。
 右岸に枝谷をはさんで、しばらく行くと三段5b滝。前日、雨が降ったのだろうか?しぶきを上げながら勢いよく水が流れ落ちている。沢の水量は多い。今日は厳しい山行になりそうだ。ここは、滝の右側をへつって越える。すぐに、三段11b滝。ここは、右岸の巻き道を使って5b・4b滝を高巻き、上段の2b滝は簡単にこなす。左岸に枝谷を二本はさんで小滝が続く。
 しばらく歩いていくと出合。滝ヶ谷を見送り右俣に入ると、目の前に9b滝が姿をあらわす。ここは、登れそうもない。ゴルジュになっているので少し引き返すと、釣師が使っていると思われる巻き道を見つける。草付なので慎重に登り途中から枝木をつかみながら山の斜面をトラバースして滝を抜けた。その後は、穏やかな流れになり「ほっ」とするも、それも束の間、すぐに三段8b滝が姿をあらわす。「百山百渓」の著者、各務原山岳会の日比野さんが魚止滝〔仮称〕と呼んでる滝だ。落下する水量が多く、なかなかの迫力だ。ここは、滝の左岸を登るも、足場が濡れているのでいやらしい。慎重に登り途中から枝木をつかんで滝を乗り越える。滝の落ち口に下りるのも厳しい。ホールドが乏しく、しかも、落ち口のすぐ前に小さな釜がある。ここは、つかんでいる木の枝を使っての振り子トラバースで切り抜ける。足場が悪いので、冷や冷やものの高巻きだった。
 ようやく穏やかな流れになり、出てくるのは小滝ばかり。途中、3b滝があったものの左岸から巻く。左岸に枝谷を見て、次に、左岸に枝谷を二本確認して歩いて行くと7b滝に出会うも簡単に乗っ越す。左岸に枝谷を見て3b・4b・8b滝が出てくるも左から巻く。しばらく小滝が続くも簡単にやり過ごし、左岸に二本ルンゼが入って、しばらく行くと沢は東に向きを変え、3b滝を越えていくと18b滝が姿をあらわす。日比野さんが大河内滝〔仮称〕と呼んでいる長床谷で一番大きな滝だ。魚止滝より均整がとれてて滝らしい滝だ。水量も多く、流れ落ちる姿は豪快そのもの。ここは巻き道を使って下段の3b滝を乗っ越し、上段の15b滝は左岸の草のはえたザレ場を登り、途中から山の斜面をトラバースして抜ける。そして、立ち木を使って山の斜面を降下して沢に降り立つ。次の1b・4b滝は滝の左側を登って切り抜ける。4b滝は、すだれ状に水が流れ落ちている扇形の美しい滝だった。
 ここで出合。遡行図と地形図、コンパスで現在位置を確認して右俣の夏小屋谷を見送り、左俣の焼小屋谷に入る。いきなり、二段8b滝。岩が逆層になっており、しかも、増水。登れない。ここは、右岸の草付に活路を見出すも、取っ付きが滑りやすく苦労した。続いて子滝の五段滝。ここは、快調に登る。しばらく行くと、二段3b滝。ここも、簡単に登る。ここから先は、小滝の連瀑帯になり遡行図が書けなくなってしまうほど滝が多かった。右岸に二本枝谷を見て登っていくと二段8b滝に出会う。ここは、すこし戻って左岸の枝尾根に取り付き、途中から山の斜面をトラバースし滝横のルンゼを渡って滝を巻く。続いて8b滝も簡単に登り、次の5b滝を越えると沢の分岐。
 ここで、右俣をとり、笹ヶ峰への最後の登りにかかる。ここからは、小滝の連瀑状態。もう遡行図には書ききれないぐらい滝がある。ここまで登ると沢はルンゼになってきて県境尾根は近いと確信する。しかし、予想より早く沢の水は切れ、あっという間にルンゼが消えてしまう。足場がぬかるんでのぼりづらいので左手の子尾根にルートをとる。しかし、尾根には、低い潅木が密生しており、しかも急斜面。えらいヤブ漕ぎだ。尾根の手前では、笹も出てきて踏んだり蹴ったりだ。
 なんとか尾根に乗ったが、木立の間から見える北側の稜線を見ると、どうも予想していた位置と現在位置が違う。J・佐々木氏から、「遡行図を鵜呑みしすぎてるんじゃないか?」とアドバイスをもらう。確かに、出合では双方の沢のスケール・水量で状況判断をするのが沢登りの鉄則。現在の状況からしてみれば、どうみても、もう一本奥の出合から右にルートをとらなければならなかったことは明らかだ。おそらく、右奥に見えているのが笹ヶ峰だろう。ここからだと、笹ヶ峰はまだまだ遠い。でも、ここまで来たら引き返す意味がない。あとは黙々とヤブを漕ぐだけだ。
 これから先は、J・佐々木氏先頭に立ってヤブを漕ぐ。あいかわらずの低い潅木と笹の入り混じるヤブだ。豪雪地帯だけあって、ところどころ木が地をはうように伸びている。まともにヤブが漕げないので、木をまたいだり、乗り越えたり、それでもだめなら少し下りて斜面を巻いて登っていく。途中、昔使われたと思える道があったが、それも一瞬の喜びで、あっという間にヤブ漕ぎに逆戻り。南に見える美濃俣丸山から大河内山・夏小屋丸・笹ヶ峰に続く県境尾根に生える緑の笹の美しさに心が癒されるのが唯一の慰めだった。
 苦労の甲斐あって、県境尾根にたどり着く。ようやく現在位置がつかめた。地形図には記載されてはないが、笹ヶ峰は双子峰で、その南側のピークにいることがわかる。ここは、パノラマ展望で、美濃俣丸山や大河内山は勿論のこと、千回沢山や不動山、釈迦嶺等、奥美濃の名だたる山々が見渡せた。
 笹ヤブをこぎながら尾根を登り返し、笹ヶ峰に到着。ピークが広いので、すぐさま二人で三等三角点を探し始める。意外に早く三角点は見つかった。笹の茂みの中、畳半畳ばかりの切り開きに三角点はあった。近くに立ち木がないので山名プレートがなく、また、ゴミひとつないひとづれしてない清らかな雰囲気がとても嬉しい。ここまで苦労した甲斐があった。展望には恵まれないものの、秋空の晴天の中、それを補っても余りある至極の時を過ごす。
 時計を見ると、すでに午後1時をまわっている。そんなに頂上で長居はできないようだ。笹ヶ峰に名残を惜しみつつ下山にかかる。北に進路をとり、最初の鞍部から山の斜面を下っていく。あたりは一面の笹の海。滑らないように慎重に下っていくと、やがて、潅木のヤブに変わる。左手に小さな沢を見つけ山の斜面をトラバースしもって沢に出る。水の枯れたルンゼで、まるで山道を下りていくような気分。このまま焼小屋谷まで一気に下れるかと思ったが、世の中そんなに甘くない。最後にルンゼは深く谷に切れ落ちていて、下降ポイントを探しながら下流方向に向かって斜面を巻いていく。ようやく焼小屋谷に降り立ち、ここでワラジを履き替える。とたんに右足がつる。「こんな大事な時にかぎって何でやねん!」とぼやく。この後、足がつらなくて幸いだった。
 しばらく下っていくと5b滝。ここは、捨て縄が残されており懸垂下降で切り抜ける。続いて3b滝を降りていくと左岸から枝谷が合流。次の5b滝も左岸から慎重に降りた後は、しばらくは問題なし。そして、二段8b滝。ここは、右岸から木立を使っての二度目の懸垂下降。滝下に降りてから、J・佐々木氏が「ここは、俺が苦労した滝だ!」と、ようやく現在位置がつかめ気が楽になる。よくあたりを観察すると右岸に巻き道が・・・滝の高巻きは本当に難しい。長床谷の手前で8b滝を右岸から三度目の懸垂下降。
 長床谷に出てから、すぐに右岸の枝尾根を登り、小さなルンゼを渡るのに冷や冷やしつつも山の斜面をトラバースして4b・1b・大河内滝を一気に抜ける。その後は、快調に沢を下りて行く。しかし、夕暮れも近づいていることもあり、次第にあたりは暗くなってきた。J・佐々木氏と交わす言葉もなくなり、緊張感を漂わす沈黙が続く。
 そして、今日一番の難関の魚止滝。ここは、一回の懸垂下降では無理で、次の懸垂下降のための支点作りをするポイントまで3b降りなければならない。岩のホールドも細かく、落ちたら地獄の一丁目。かなり緊張ながら降りていく。そして、左にバンドをへつり、ロープを木の幹に通して二回目の懸垂下降。滝下に降り立った瞬間、今日の山行のヤマ場は越えたと思った。すぐに、9b滝。ここは、左岸の山の斜面をトラバースして適当な木立を見つけてから六度目の懸垂下降。ここで、右足のワラジをはきつぶす。もう予備のワラジはない。少々焦ったが、どうなるものでもない。逆に開き直って、あとの滝も慎重にこなして林道終点にたどり着いた。あたりは、すっかり暗くなっていた。

○林道終点7:00〜7:10・・・長床谷入渓7:15・・魚止滝8:30・・・大河内滝
9:20・・焼小屋谷9:47・・県境尾根12:36・・・笹ヶ峰12:45〜13:15
・・・焼小屋谷14:07・・・長床谷15:51・・・・大河内滝16:06・・・魚止滝
16:47〜17:12・・・林道終点17:37

○地図 2万5千部の一「広野」
posted by 飄逸沢遊会 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | '04年 山行報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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